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女性累犯者専門の刑務所施設をレポート——ズウォレのISDに見るリハビリの現実
社会 読了 2分

女性累犯者専門の刑務所施設をレポート——ズウォレのISDに見るリハビリの現実

治療を求める人、拒む人——オランダ唯一の女性専門部門が抱える葛藤

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オランダ東部の都市ズウォレに、全国でも唯一とされる施設がある。女性の累犯者を対象に、精神科的な治療プログラムを提供する専門部門を持つ刑務所——「ISD(Inrichting Stelselmatige Daders)」だ。NRCのポッドキャスト「日曜のリスニングストーリー(Luisterverhaal op zondag)」が同施設を取材し、その実態を音声ルポとして届けている。

治療と拒絶が交差する施設の内側

ISDとは、繰り返し犯罪を重ねるいわゆる「累犯者」を長期にわたって収容し、社会復帰に向けたリハビリを促すことを目的とした制度だ。一般的な刑事施設とは異なり、単に罰を与えるのではなく、依存症治療や精神科的ケアを組み合わせた包括的な支援が柱となる。女性専用の部門を設けているのは、現在のところズウォレの施設のみとされている。

取材の中で浮かび上がったのは、支援を必要とし、治療に前向きに取り組む入所者がいる一方で、介入そのものに抵抗感を示す女性たちの存在だ。なかには「クラック(麻薬)を始めたことをまったく後悔していない」と語る入所者もいたという。この言葉は、施設が直面する困難の深さを端的に示している。更生や回復を「望まない」あるいは「必要と感じない」人々に対して、どこまで治療的介入が有効なのか——現場の葛藤が垣間見える。

社会課題としての女性累犯

累犯と精神疾患、薬物依存が複雑に絡み合うケースは、従来の刑事司法の枠組みだけでは対処しきれないという認識が、オランダでは広がりつつある。ISDはその一つの答えとして機能しているが、女性の累犯者に特化した施設が国内に一か所しか存在しないという現状は、対応能力の限界をも示唆している。

ポッドキャストを担当したのはジャーナリストのアラルト・ファン・デル・ウーデで、ナレーションをハネケ・チン・ア・フォーが担当。施設の内側に踏み込んだ丁寧なルポは、聴く者に司法と福祉の境界線について改めて考えさせる内容となっている。

オランダに暮らす日本人にとって、こうした施設の存在はなじみが薄いかもしれない。しかし、依存症や精神的な問題を抱えた人々を「罰する」だけでなく「支える」仕組みをどう設計するかは、社会の成熟度を測る指標の一つでもある。ズウォレの試みは、その問いに正面から向き合うオランダ社会の一断面といえるだろう。

情報源: NRC

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