2026年第1四半期、オランダの難民申請が33%増加——「国籍不明」が最大グループに
パレスチナ出身者の増加が数字を押し上げ、全体の移住像は複雑
2026年第1四半期、オランダへの初回難民申請件数が前年同期比33%増の約6,000件に達したことが、オランダ統計局(CBS)の発表で明らかになった。データは移民帰化局(IND)の最新統計に基づくもので、増加の背景には単純な「難民の急増」とは言い切れない、複層的な事情がある。
「国籍不明」が最大グループに浮上
増加を主導したのは、「国籍不明」として申請した約1,100人のグループだ。この分類には、国籍を申告しない人や自分の国籍を把握していない人のほか、すでに存在しない国や、オランダが国家承認していない地域の出身者が含まれる。CBS主任社会学者のタニャ・トラーグ氏によれば、このグループの大半はパレスチナ自治区の出身者だという。オランダは現時点でパレスチナを国家として承認しておらず、そのためINDの記録では「国籍不明」として処理される。フランス、スウェーデン、スペイン、アイルランド、ノルウェーがパレスチナを承認しているのとは対照的な立場だ。なお、初回申請時に登録される国籍はあくまで暫定的なものであり、後に確定的な国籍へ変更される可能性もある。
「国籍不明」以外では、ソマリアおよびスーダン出身者の申請件数も増加した。一方、シリア人の申請は減少に転じた。家族合流(なれい)のケースも前年同期比21%増の4,600人を記録し、そのうち4分の3がシリア出身者だった。家族合流の件数はすでに認定された申請数や審査の処理速度に左右されるため、その動向を一因で説明するのは難しいとトラーグ氏は指摘する。
総数は減少傾向、移住全体に占める比率も低い
増加という見出しが目を引くが、より大きな文脈を見渡すと別の側面も浮かび上がる。初回申請の件数は前期(2025年第4四半期)比では20%減であり、難民申請の総数は2023年以降むしろ減少傾向にある。トラーグ氏は「欧州への避難を必要と感じる人が減っている可能性や、EUが近年強化してきた国境管理の効果が出ている可能性がある」と述べるが、明確な単一の要因は特定できないとも付け加えた。
そもそも難民申請はオランダへの年間移住全体の約9%を占めるに過ぎない。移住の主流は、海外に住んでいたオランダ人の帰国や、パートナーとの同居を目的とした移住などだ。「移民問題」が政治の最前線に立つ今のオランダにおいて、数字の一面だけが独り歩きするリスクをCBSのデータは静かに示している。在蘭の日本人にとっても、移民・難民をめぐる政策議論の背景を正確に把握する上で、こうした統計の文脈は見落とせないポイントだ。
情報源: NRC





