ASMLの800人超が健康被害——クリーンルームのマスク着用が原因か
労働組合FNVのアンケートで回答者の9割が頭痛・呼吸困難を訴え
オランダが世界に誇る半導体露光装置メーカーASMLで、クリーンルーム勤務者の健康問題が表面化している。労働組合FNVが実施したアンケートには800人を超える従業員が回答し、そのうち90%がマスク着用に起因する健康上の問題を訴えていることが判明した。頭痛、呼吸困難、疲労感が最も多く報告された症状で、とりわけ1日6時間以上クリーンルームで働く従業員ほど症状が重い傾向にある。
マスク義務化の背景とクリーンルームの特殊環境
クリーンルームとは、チップ製造装置を組み立てるための超清潔・無塵の空間だ。ASMLでは2024年9月からこの空間でのマスク着用が義務化されており、微細な粒子が精密機器に与えるダメージを防ぐための措置とされている。ASML広報担当者は地元メディア「Studio040」に対し、「当社のシステムは超清潔な環境で製造される必要があり、デリケートな機械への損傷を防がなければならない」と説明した。特に最新世代のチップ製造装置を生産する工場では規制がより厳しく、マスクを外すことは一切認められていない。同社は、このマスク着用方針が従業員および労使協議会との協議を経て策定されたものであると強調している。
FNVの要求とASMLの対応
FNVはこの調査結果を受け、クリーンルーム内の換気設備の改善と、より的確な空調管理の導入を求めた。また、マスクの使用を可能な限り最小限に抑えること、そして定期的な「マスク休憩(mondmaskerpauze)」の制度化も訴えている。一部の従業員はすでに医療上の理由などでマスク着用義務の免除を受けているが、最先端装置を製造するエリアではその適用が難しい状況もある。ASMLは「マスク着用が負担になり得ることは理解しており、健康や安全に懸念を示した同僚がいることも把握している」と声明を発表。現在FNVの調査結果を精査中であり、今後の対応について同組合と協議の場を設ける意向を示した。
在蘭日本人・半導体業界関係者への影響
ASMLはEUV露光装置の世界唯一のメーカーとして、グローバルな半導体サプライチェーンの要に位置する企業だ。日本の主要半導体メーカーや関連企業もASMLとの取引関係を持ち、在蘭日本人の中にも同社勤務者や協力会社の関係者は少なくない。今回の問題は単なる労使交渉にとどまらず、精密製造業全体における作業環境と従業員の健康管理のバランスをどう取るかという、より普遍的な課題を提起している。ASMLが今後どのような改善策を打ち出すかは、同業他社のクリーンルーム運用にも影響を与えうるとして注目される。
情報源: NOS Algemeen

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