飲料水供給の危機、政府に国家戦略の早期策定を勧告
気候変動・汚染・人口増加が追い打ち、料金値上げと全戸メーター設置も提言
オランダの飲料水供給が、今後数十年で重大な岐路に立たされようとしている。政府の環境・インフラ分野の諮問機関RLI(Raad voor de leefomgeving en infrastructuur)は4月、インフラ担当のヴィンセント・カレマンス大臣に対し、国家飲料水戦略の早期策定を求める提言を発表した。気候変動、水質汚染、人口増加という三重の圧力が、オランダの淡水システムにかつてないほどの負荷をかけているという。
汚染と干ばつが淡水源を直撃
オランダの飲料水は主に、地下水や運河・河川・湖沼などの表流水から供給されている。しかしRLIによれば、これらの水源は化学物質、医薬品、農薬による汚染が年々深刻化しており、水質の悪化が著しい。さらに気候変動に伴う干ばつの頻発が、家庭や産業が利用できる水量そのものを減らしている。人口増加や経済成長が続く中、水道会社には今後さらに大量の処理・供給能力が求められるが、RLIはこうした課題が「個々の水道会社の対処能力を超えている」と明言する。公衆衛生機関RIVM(国立公衆衛生環境研究所)も2023年、需要の増加により今世紀末までに国内全10社の水道事業者が供給不足に陥る恐れがあると警告しており、「新たな水源の確保に向けて今すぐ行動が必要だ」と訴えていた。
政府出資・料金値上げ・全戸メーター設置を提言
RLIの提言は多岐にわたる。まず政府が水道会社に直接出資することで、インフラ整備に必要な投資を財政面から支援するよう求めている。また、オランダ人は比較的多くの飲料水を使いながら、料金は相対的に安い水準にとどまっているとして、投資財源の確保と節水促進のために料金の引き上げが不可欠だと指摘する。さらに、その実効性を高める手段として、全世帯への水道メーター設置を推奨。使用量が過剰な世帯には高い料金を課す累進制の導入も求めている。政府はすでに2年前、1人あたり1日の飲料水使用量を現在の平均約134リットルから100リットルへ削減するよう国民に呼びかけていた。しかし節水に向けた取り組みはこれまで大きな効果を上げられておらず、政策的な後押しの必要性が高まっている。
在蘭日本人の生活への影響
料金値上げや水道メーターの全戸設置が実現すれば、オランダに住む日本人を含むすべての居住者の家計にも直接影響が及ぶ。現状では水道料金が低く抑えられているため、節水意識が育ちにくい面もあるが、メーター制の導入により使用量を意識した節水行動が促されることになる。国家戦略の策定は中長期的な課題だが、飲料水の安定供給という生活インフラの根幹に関わる問題として、政策の行方を注視しておく必要があるだろう。
情報源: DutchNews

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