記者晩餐会でトランプ政権要人への襲撃未遂――武装の31歳男を逮捕
シークレットサービス捜査官が被弾も防弾ベストで難を逃れる
ワシントンD.C.で毎年開催される恒例の記者晩餐会(コレスポンデンツ・ディナー)が、今年は一触即発の事態に揺れた。会場となったヒルトンホテルの外で、ライフル銃・拳銃・ナイフを所持した男がシークレットサービスに制圧され、逮捕された。CBSニュースは複数の関係者の話として、男がトランプ政権の高官を標的にした襲撃を計画していたと報じた。
教師でゲーム開発者、容疑者の素顔
逮捕されたのはロサンゼルス近郊出身のコール・アレン(31歳)。LinkedInのプロフィールによれば、コンピュータサイエンスの修士号を持ち、教師とゲーム開発者の二足のわらじを履いていたという。事件当夜、アレンはディナーが開かれていたホテル内に宿泊しており、警戒区域を走り抜けようとしたところを捕捉された。トランプ大統領がソーシャルメディア「Truth Social」に投稿した監視カメラ映像には、男が警備ポストそばを疾走し、複数の捜査官が迫る様子が記録されていた。
シークレットサービスの副長官は、アレンが「最初の接触で」制止されたと述べた。この際、捜査官1名が銃弾を受けたが、防弾ベストに阻まれ、短時間の入院治療ののち現場に復帰した。他に負傷者は出ていない。現時点で犯行動機の詳細は明らかになっていないが、AP通信は2024年の大統領選でアレンが民主党候補カマラ・ハリスの陣営に25ドル献金していたと伝えている。
政権中枢が一堂に会した夜
晩餐会にはバンス副大統領、ルビオ国務長官、ベッセント財務長官、ケネディ保健長官、ギャバード国家情報長官、パテルFBI長官と、政権の最重要ポストを担う人物たちが顔をそろえていた。トランプ大統領は事件から30分あまり後にタキシード姿で記者会見に臨み、「非常に予想外のことだった」と述べながらも落ち着いた様子を見せた。シークレットサービスの「迅速かつ勇敢な」対応にも謝意を示した。
結果として晩餐会はキャンセルとなったが、トランプ氏は「誰にも我々の社会を乗っ取らせない。イベントをやめない」と宣言し、30日以内に改めて開催する意向を明かした。また今回の事件を念頭に、かねてから推進してきたホワイトハウス内への専用大宴会場建設計画の必要性を改めて強調した。4億ドル規模とされるこの計画には、ドローン対応設備や防弾ガラスの採用が盛り込まれているが、3月末に裁判所が差し止めを命じたばかりだ。
相次ぐ大統領への脅威
今回は3年連続で現職または元大統領トランプ氏の周辺で重大な警備上のインシデントが発生したことになる。2024年7月には遊説中のトランプ氏に向けて銃弾が放たれ、耳をかすめる生死すれすれの経験をした。同年9月にはゴルフ場の茂みにライフルを持って潜伏していたライアン・ラウスが逮捕され、終身刑の判決を受けている。アレンの公判は翌日に予定されており、今後の捜査で動機の全容が明らかになるか注目される。在米・在欧の日本人コミュニティにとっても、米国政治の安定と治安情勢を見極めるうえで、今後の司法手続きと政権側の対応を注視する必要があるだろう。
情報源: NOS Algemeen





