野良猫を射殺せよ――オーファーアイセル州が鳥類保護を名目に強硬策へ
フリースラント州に続く「猫の駆除」、専門家からは異論も
オランダ東部のオーファーアイセル州が、野良猫の射殺を認める特別許可(オントヘフィング)を州議会(Provinciale Staten)に申請する意向を固めた。州の行政執行部が明らかにしたもので、実現すれば同様の措置を導入済みのフリースラント州に続き、オランダで2番目の事例となる。自然豊かな農村地帯を多く抱える同州にとって、野生化した猫の問題は長年の懸案だったが、今回の動きは改めて賛否両論を巻き起こしている。
草原性鳥類の保護を旗印に
州当局が射殺措置の主な根拠として挙げるのが、グルット(タゲリに近い草原性の渉禽類)をはじめとする草原性鳥類の保護だ。グルットはオランダの「国鳥」とも称されるほど象徴的な存在だが、その個体数はここ数十年で激減しており、農業の集約化や生息地の消失と並んで、天敵による捕食も問題視されてきた。野良猫や野生化した猫は営巣中の親鳥やヒナを狙うとされ、地元農家や自然保護団体の一部からは早急な対策を求める声が高まっていた。フリースラント州はすでにこの論理のもとで射殺許可を運用しており、オーファーアイセル州はその先例に倣う形だ。
専門家が「最大の脅威」論に異議
しかし、この措置には専門家から明確な反論が出ている。猫が草原性鳥類にとって「最大の脅威」であるという前提そのものを疑問視する声だ。研究者らは、グルットの個体数減少の主因は農地の排水改善や草刈り時期の変化など農業構造の問題であり、猫の影響はそれに比べて限定的だと指摘する。射殺という不可逆的な手段を正当化するほどの科学的根拠が示されていない、との批判は根強い。また、「野良猫」と「飼い猫が屋外に出ている状態」の線引きが現場では難しく、誤射リスクを懸念する声もある。
在蘭日本人にとっても無縁ではない議題
ペットを飼う在蘭日本人にとっても、この議論は他人事ではない。オランダでは屋外を自由に歩き回る猫は珍しくなく、自分の猫が「野生化した猫」と見なされるリスクや、地域によって異なるルールへの注意が今後求められる可能性がある。州議会での審議はこれからだが、動物愛護団体や市民グループの反発も予想され、政治的な論争に発展する公算が大きい。自然保護と動物福祉のどちらを優先するか――オランダ社会が改めて問われる局面が来ている。
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